2023/05/28 07:48

カブトムシ成虫の飼育方法(必要な備品)

以前、カブトムシの一生を卵から順を追って解説しました。しかし、実際には成虫から飼育を始める方が多いため、成虫の飼育方法→産卵方法→幼虫の飼育方法の順で詳しく説明していきます。今回は飼育方法に必要な備品について説明します。

カブトムシ成虫の飼育に必要な備品

飼育ケース、エサ、エサ皿、成虫用マット、転倒防止材、スプレーボトル

・飼育ケースの選び方とおすすめ商品

 カブトムシの飼育ケースは100円ショップやホームセンターで手に入る一般的なもので問題ありません。ただし、コバエなどの小さな虫が侵入しないように、蓋とケースの間に不織布や新聞紙を挟むことがおすすめです。私が推奨する飼育ケースは、クリアースライダー、クリーンケース、コバエシャッターです。特にクリアースライダーは、透明なケースで観察しやすく、スライド式のロック付き蓋が脱走防止に役立ちます。

 飼育ケースのサイズ選びも重要です。小型種の1頭飼育には、クリアースライダー小(W181×D124×H112mm)が適しています。より広い空間で飼育したい場合は、クリアースライダーラージ(W267×D187×H159mm)も良い選択です。また、オスとメスのペア飼育にはクリーンケースM(W305×D195×H232mm)がおすすめです。

 コバエ対策に特化した飼育ケースとして、コバエシャッターがあります。このケースは複数のサイズがあり、二重構造の蓋と不織布フィルターで小さな虫をシャットアウトできます。蓋と不織布のフィルター部分の二重構造で出来ており、コバエなど小さな虫をシャットアウトすることができます。また、不織布部分が破れたり汚れたりしてしまった場合はフィルターを交換することができます。飼育ケースの手頃なサイズとしては、オスとメス二頭飼育の場合、中(W298×D195×H210mm)が手ごろな大きさだと思います。一方、単独飼育であれば小(W230×D153×H173mm)かミニ(W180×D110×H145mm)がお奨めです。

・エサ
 フルーツとしては、バナナやリンゴが特におすすめです。一方で、スイカやメロンは水分が多いため、排泄の頻度が増え、飼育ケースが不衛生になりがちです。最も手軽なエサは昆虫ゼリーで、夏場には100円ショップでも手に入ります。また、16gの通常サイズのゼリーは、メスには適していますが、オスの場合、角が邪魔してゼリーを完全に食べることが難しいため、底が浅いワイドタイプがおすすめです。ゼリーを与える際には、蓋を完全に取り除くのではなく、十字にカットすることでケース内の汚れが軽減されます。その際、ミタニ製の業務用ゼリーカッターが役立ちます。これを使えば、安全かつ簡単に十字カットができます。

十字カット済


 私自身の場合、オスに16gの通常サイズのゼリーを与える際には、ゼリースプリッターでゼリーを半分にカットしています。ゼリースプリッターは、中央にカッターの刃が付いており、ゼリーを台に固定して半分にカットできます。カットする際には、多少力が必要です。また、刃が切れなくなった場合、交換が可能で、「OLFA替刃(小)」が使用できます。クワガタムシのエサやりにも役立ちますので、カブトムシやクワガタムシ飼育を検討している方にはお勧めです。

ゼリーカッターでカット済

 ゼリーの種類については、カブトムシを長生きさせたい場合や、産卵を促したい場合は、高タンパク、高カロリーのゼリーが良いでしょう。クワガタムシのブリーダーによく使われるものには、KBファームのプロゼリーがあります。このゼリーには、カブトムシに必要な栄養成分が含まれており、寿命を延ばすことができるとされています。また、バナナ味で液ダレが少なく、100円ショップのゼリーと比べて食いつきが良いと言われています。

・エサ皿
 昆虫ゼリーを固定する皿は、木製とプラスチック製が一般的で入手しやすいです。エサ皿を使用することで、ゼリーの転倒をある程度防ぐことができます。ただし、カブトムシはエサ皿にゼリーを置いても、皿からゼリーを引きずり出すことがあるため、ケース内が完全に清潔に保つことは難しいです。また、エサ皿はゼリーを固定するだけでなく、カブトムシの止まり木や転倒防止にも役立ちます。私の場合、飼育ケースが広い場合はエサ皿を設置しますが、狭い場合はスペースが狭くなるため設置しません。必ずしも必要ではないので、スペースがあれば設置を検討すれば良いでしょう。

・成虫用マット
成虫用と幼虫用のマットは異なる目的で使われるため、それぞれの成長段階に適したマットを選ぶことが重要です。ここでは、産卵を考慮していない成虫用マットについて説明します。成虫はマットを食べないので、発酵済みマットは必要ありません。一次発酵済みのマットや、広葉樹・針葉樹を粉砕したマットがおすすめです。もちろん、幼虫用の発酵済みマットを使用しても問題はありませんが、再発酵による高温がカブトムシの死につながることがあるので注意が必要です。再発酵を防ぐためには、マットを袋から取り出して2~3日放置し、ガス抜きを行うと安全に使用できます。使用前にマットが発熱していないことを確認してください。また、園芸用の腐葉土を使用する場合は、無農薬のものを選んでください。針葉樹マットは、コバエやダニの発生を抑える防ダニ対応が可能で、消臭効果もあります。カブトムシにダニが付いていた場合、針葉樹マットに切り替えてみることをおすすめします。効果は約1週間後に現れます。マットの交換は、1~2週間ごとに行ってください。ただし、ケースの大きさによって交換タイミングが異なるため、飼い主の判断でケース内が清潔に保たれるように対応してください。

・転倒防止用品
カブトムシは厚みがあることが魅力的ですが、その厚みのためにひっくり返ってしまうと、自力で起き上がれないことがあります。これにより体力を消耗し、寿命が縮まる可能性があるため、転倒防止用品が必要です。転倒防止用品としては、エサ皿や木の枝が一般的ですが、割り箸、落ち葉、インテリアバーク、ハスクチップも使用できます。ただし、100%転倒を防止できるわけではないので、定期的にカブトムシが転倒していないか確認することが大切です。転倒防止用品を配置することで、カブトムシが安全に過ごせる環境を整えることができます。

ハスクチップ
ハスクチップ

今回はカブトムシの成虫を育てるために必要な備品について説明しました。カブトムシの飼育の参考にしていただけると幸いです。